標題・電圧


送電電圧



1.送電線の電圧とは?
 
2.常時の運転電圧
 
3.地絡事故時の異常電圧
 
4.発変電所での遮断器開閉時の異常電圧(開閉サージ電圧)

                                           




1.送電線の電圧とは?


(1) 何処に加わっている電圧か?


 送電線は、ほぼ全てが交流送電線で三相3線式であるが、送電線の電圧というのは3本の電線相互間に加えられた電圧のことをいう。

 
右の66kV2回線送電線の写真を見ていただきたい。

 すなわち、電線と電線間の電圧をその送電線の電圧という。
 電線は、3本あるがどの電線間を計っても同じ値を示す。

 この電圧を線間電圧または相間電圧と呼ぶ。

 それでは、電線と大地(鉄塔材)間の電圧は、というと電線間の電圧の1/√3が電線と大地間の電圧になる。

 すなわち、電線と大地の間を計ると送電電圧(電線間の電圧)の1/√3の値が計測される。
 この電圧を対地電圧(相電圧)と呼ぶ。

 たとえば、66KV送電線の対地電圧は66÷√3=38.1KVである。


(2) 時々刻々変化する交流電圧のどこを計るのか?
 

 交流は、1秒間に50回または60回の割合で+−に変化している。
 すなわち、0から+の最大値まで増加し、次に−の最大値まで減少し、0に戻る。 この変化が1秒間に何回あるか、その1秒間に繰り返される数のことを商用周波数といい、単位をヘルツ(Hz)と呼んでいる。

 日本ではこの商用周波数は50Hzおよび60Hzの2種類がある。

 50Hzは、北海道、東北および東京電力管内の日本の東側半分の地域、60Hzは中部および北陸電力を含む日本の西側半分の地域で使われている。

 この変化の形状は下図の通り正弦波形(sine curve)である。

 正弦波形の電気の仕事量は、その最大値の1/√2の直流電気の仕事量と等価なので、交流電気の電圧は最大値(波高値)の1/√2の値をもって公称電圧としている。

 また、この電圧を「実効値」と呼んでいる。

 たとえば、家庭のコンセントの交流電気は+−に変化する100Vであるが、正確にはそれは実効値で、最大値は√2倍の±141.4Vが加わっている。
 送電線の電圧も、実効値を用いて公称電圧としている。

 公称電圧66kVの送電線では、線間電圧の最大値(波高値)は66×√2=93.3kVである。





 なお、線間電圧と相電圧の関係については、別項「
三相交流」でベクトルを用いて詳細に解説しているので、そちらもご覧いただきたい。




2.常時の運転電圧

 常時安定して運転しているときの送電線の電圧を「常時の運転電圧」という。

 この電圧は、電力を需要地に送電している時には、電線の抵抗があるので送電線を流れる電流により電圧降下が発生し、発電端よりも受電端の方が電圧が下がる。

 一方、受電端を開放して、電圧だけ加わって負荷電流が流れていない状態の時は、電線と大地との間の静電誘導現象による充電電流によって発電端よりも受電端の方が電圧が上昇する(フェランチ効果という)現象が生ずる。
 即ち、送電線の電圧は、送電運転しているときは送電端が高く受電端が低く、逆に受電端を開放して送電していないときは送電端が低く受電端が高くなる。

 したがって、公称電圧のほかに送電線に生ずる最高電圧の値を定めて、常時には最高電圧に耐えるように設計する。

 公称電圧と最高電圧の値は次の通りである。

公称電圧(KV)      最高電圧(KV)
・  22              23
・  33             34.5
・  66             69
・  77             80.5
・ 110             115
・ 154             161
・ 187             195.5
・ 220             230
・ 275             287.5
・ 500             525/550*
・1000            1100


(*印:最高電圧は送電線毎にいずれかの値を採用する。)
 なお、公称電圧275KV以下では、最高電圧は公称電圧に1.15/1.1倍したものとなっている。




3.地絡事故時の異常電圧
 

 送電線に、例えば、落雷があったり、鳥(カラス)とかヘビが原因で、あるいは風でビニールシートが飛ばされて送電線に引っかかったりと、いろいろな原因で地絡事故が発生することがある。

 このようなときは、健全な相に異常電圧が発生する。

 この時は保護リレーで遮断器が動作するまでの間、健全な相に異常電圧が発生するが、この値は常時の対地電圧・波高値の1.7倍程度で、遮断器開閉時の異常電圧(開閉サージ電圧)に比べて低いので絶縁設計上特に重大な要因とはならない。




4.発変電所での遮断器開閉時の異常電圧(開閉サージ電圧)

 この異常電圧は、商用周波数の電圧ではなく、過渡的に生ずる急峻な波形の電圧で開閉サージ電圧と呼ばれている。

 この異常電圧は、発変電所で送電線に電気を送ろうと、遮断器を投入(閉じる)したり、地絡事故が発生したときに送電線に送っていた電気を止めようと遮断器を開放したりするときに、瞬間的に発生するもので、一般的には前者の方が高い異常電圧を発生させる。

 この開閉サージ電圧は、常時の対地電圧・波高値に対して、66〜154KV送電線では3倍強、187〜275KV送電線では3倍弱、500〜1000KV送電線では2倍以下となっており、送電線はこの電圧に対してフラッシュオーバしないように設計することが重要である。

 



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