標題1

海外の送電線
France

2007.09.10 新設
2015.03.05 南フランス掲載

<最近更新事項>
南フランス追加掲載(2015.03.05)



I traveled in the French northern part in 2007. I did Cruise of the Seine to the river mouth from Paris and went from there to Rennes of Brittany district. On this page, I display the photographs which I took during a trip.
 フランスには、2007年5月に旅行した。
 旅行地は、首都のパリから、セーヌ川を大西洋河口まで下り、ノルマンディー地方を西進し、ブルターニュ地方の玄関口のレンヌまで、大雑把にフランスの北部を600Kmほど旅行し、多くの送電線を見た。


 フランスは、国土の大半は概して緩やかな丘陵地や平野で可住地に恵まれていて、温暖な気候で農業大国である。
 可住地の広さは日本のおよそ3.5倍にも達するので、送電線ルート確保も日本に比較してかなり容易であろう。例えば、各拠点変電所の送電線引き込み口では多数の送電線が水平配列で、広い専用用地を確保して引き込まれている。

 使用電圧は、送電の電圧区分を3つに分け、高圧系統B1(63KV,90KV)、高圧系統B2(150KV,225KV)、高圧系統B3(400KV)として運用している。
 送電線回線延長は、少し古い統計値であるが1996年現在で、225KV:約26,000km、400KV:約21,000kmである。
 なお、既に750KV1回線送電線設備が建設されているが、現在は400KV2回線線路として運用されている。
 一方、配電系統は、高圧系統A(10KV,15KV,20KV)、低圧系統(230V,400V) として運用している。

 

 電源については、原子力発電への依存率が最も高い国で、その設備利用可能率が83%以上の高い比率であり、極めて高効率運用をしている。
 発電用原子炉の数はアメリカに次ぐ59基。最近は総発電量の78%を原子力が占めており、その発電量はアメリカに次いで世界2位である。フランスの発電量は、水力10%、火力11%、等を含め、総発電量では世界第8位を占める。
 また、国際的には、電力輸出国として近隣諸国に電力輸出している。
 
 電力会社組織は、2004年に従来の発送配電一貫体制・垂直統合型事業者であった国有会社のE.D.Fが部分民営化され、自由化市場において公平性、中立性、透明性が求められ、送配電部門の機能分離が行われた結果、送電事業部を子会社化組織(R.E.T)とし、高圧系統B1〜B3の送変電関連設備を所有、運用している。

 さて、隣国のドイツの送電線は、線下面積を気にせず、頑なに水平配列またはドナウ型に徹した設計を採用しているのが大きな特徴であるが、フランスは送電線経過地の社会環境、自然環境に柔軟に対応し、同一線路でも各種の支持物形状を使い分けしている。
 ただ、変電所への送電線引き込み口では、水平配列を採用し、幅の広い送電線専用用地(Right of Way)を確保しているのが、目立った。

 電線の導体方式は、400KV系統で2〜3導体が使用されていた。なお、400KV系統で4導体が使用されていると思われるが今回の旅行では見ることができなかった。
 がいしは、主として自国、フランスで開発された緑色のガラスがいしが用いられていた。
 
 なお、旅行中、曇天が多かったため鉄塔が逆光となり、黒一色でしか写真撮影できなかったものが多く、見にくいものがあるが、ご容赦いただきたい。

掲載目次

Prologue

1.750KV設計送電線  (A 750kV(750,000Volts) design power transmission line)

2.400KV送電線  ( 400kV power transmission lines)

3.220KV送電線  ( 220kV power transmission lines)

4.150KV以下ローカル送電線 (Local power transmission lines equal to or less than 220kV)

5.単相送電線  (Single-phase power transmission lines) 

6.その他  (航空障害標識、など) (Others)

Coffee Break  (配電線、など) (Distribution lines)


●南フランスの送電線 (2015.03.05)

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Prologue

 まずは、本文に入る前に、入国直前に見られる、壮観な風景から説明する。


 もし、フランス旅行の際、パリを目指して日本を出発されるなら、まずは、ジャンボジェット機の席を左窓側に確保することである。

 日本からパリを目指す航空機は、殆どがドゴール空港に着陸するが、西側から空港に進入するとき、その滑走路進入降下中、左の窓から目に飛び込んでくるのが、右の図で示した Piessis Gassot 変電所への送電線引き込み風景である。

(風向きによっては、東側から滑走路に進入することもあるが、その時は残念ながら見られない)




変電所には、北側から220KV線路が10回線、南側に220KVが12回線、さらに北側から400KVが6回線、南側に400KVが2回線、各回線が三角又は水平配列のえぼし型鉄塔で、引き込み・引き出しされている。

 特に北側の送電線専用用地(Right of Way)の幅は、約800mの広さである。

 

 1回線鉄塔が変電所に正対して18基も横に並んだ光景は、我が国では絶対に見ることのできない壮観な風景である。

 幸運にも、左側窓席に座り、西側から空港に進入するジャンボジェット機に乗り合わせたら、誠にすばらしい光景が見られるので、宝くじに当たったような、気持ちになるに違いない。

 ただし、蛇足だが、写真を撮るなら、アナログの古いタイプのカメラで、IC回路からの電波発信などとは関係ない古い機種を使用し、乗務員にあらかじめ許可を得ておく必要があろう。


 右写真は、上図の「最初の写真撮影箇所」と表示した所で撮影したもので、空港からパリ(南方向)へ向かう高速道路から撮った写真である。
 左から、90KV、400KV、400KV、220KV、220KVの5ルートが送電線専用用地を経過している様子である。
 400KVの電線はは、水平2導体を用いている。
 たまたま、手前に一般道を走るトラックが写ってしまい見にくいが、ご容赦いただきたい。



1.750KV設計送電線 (A 750kV(750,000Volt) design power transmission line)


 フランスの最高運転電圧は現在 (2007年現在) 400KVであるが、将来の次期電圧として750KVが計画されている。

 現在既に、一部地域では先行して750KV1回線用三角配列えぼし型鉄塔が建設されており、その鉄塔に当面は、400KV2回線が架線されている。

 右写真は、パリの南西約30Km のあたりで、フランス新幹線(TGV)の車窓から撮ったものである。

 電線は、水平2導体、碍子はガラスがいし一連19個連結の設備で、フランス南部、オルレアン方面からの電力を、パリ南部の Villejust 変電所に送電する線路であろう。

 大雑把にアーム幅を推測すれば、主アーム幅は40m強であろう、そこに750KVがいし装置をV吊り装置で建設する場合は、水平線間間隔は30m強になると思われる。

 たまたま、220KV1回線2ルートの送電線が平行して経過していた。



2.400KV送電線  ( 400kV power transmission lines)

 400KV送電線は、主に2回線設計、ドナウ型鉄塔を採用しているが、かたくなにドナウ型に徹している隣国ドイツと異なり、場所に応じて、以下に掲載するように、柔軟に各種の形状の鉄塔を用いている。
 また、今回の旅行先で見た限りでは、電線は2〜3導体方式を採用していた。


 最も多く見られた、ドナウ型の懸垂鉄塔である。
 電線は、旅行で見た限りでは2〜3導体方式が採用されており、右写真は3導体で、スペーサはY型のものが用いられている。

 下段アームの塔体(内)側相は、V吊りがいし装置となっているが、直吊りのものも多く見られた。
直吊り2連がいし装置のがいし列び方向は、我が国で通常採用されている、線路方向ではなく、線路と直角方向である。我が国と異なり、ヨーロッパではこの吊り方式が比較的多いようである。

 がいしの一連個数は線路によって異なるが、概ね19〜21個である。がいしの種類は、フランス自国で生産されている緑色のガラス懸垂がいしである。
 その性能は、我が国で使用されている磁器懸垂がいしの、笠直径320mm、強度33tfがいしに相当するものであろう。

 下アーム幅を推測すると、32〜33m、電線(水平)間隔は10m強と思われる。


 同上線路の耐張鉄塔である。
我が国の電線・碍子装置設計思想では、多導体電線または多連がいし装置に万一異常があった場合には、異常が発生した方の設備のみに影響範囲を止めるようにしている。
 例えば、電線素線1条が断線しても、がいし装置には影響が及ばないよう、また、がいし連が1連破断しても、電線には影響を与えないよう設計をしている。
 このため、がいし装置の先端に、お互いの衝撃を伝えないようバランスヨークなどの緩衝装置を設けるのが一般的である。

 しかし、フランスの耐張がいし装置はシンプルで、3導体の場合には、ほぼ、がいし各連と電線が直結している。
 もし、がいしまたは電線のどちらかに異常が発生すれば、その相は両方とも被害を被るのもやむを得ない(許容する)設計のようだ。

 なお、3導体の素線配列は、本線は逆三角形だが、ジャンパ線は逆転させ、正三角形配列となっており、ジャンパスペーサはΔ型を使用している。


 右写真は、支線付き鋼管鉄塔で、Guyed Towerと呼ばれているものの一種である。
 送電線専用用地が広く確保できる場所で使用されている。

 鋼支線と4本の鋼管で構成され、極めてシンプルな構造である。

 やや水平角度のある箇所に設置されており、手前から3相目だけが横ぶれ抑制のため、錘をつけている。


 冒頭に掲げたドゴール空港の近くで撮影したもので、1回線えぼし型鉄塔である。
 このタイプの鉄塔は、送電線専用用地(Right of Way)の幅が広く確保できる区間に使用されている。

 なお、前後径間の不平均張力に対応させるため、セミストレィンがいし装置が使用されている。
 このセミストレィンがいし装置は、フランスでは比較的多用されている。


 上記の鉄塔の隣の支持物である。
 1回線支線付き鋼管鉄塔で、Guyed Towerと呼ばれている、極めて簡素な作りの鉄塔である。

 電線地上高が、400KVにしては、極めて低いようだが、送電線専用用地(Right of Way)内なので、許容されているのだろうか。



 ルートの社会環境から、線路幅を広くできない区間は2回線垂直配列鉄塔を適用している。

 大まかに下アーム幅を推測すると、約18mになろうと思われる。
 ドナウ型が、最外側線幅が30m以上になるのと比較すると、必要線路幅は60%以下になるので、ルート選定上の自由度が大きくなり、利用可能土地が広大なフランスでも、場所により垂直配列のメリットが発揮されているのであろう。

 このがいし装置は、セミストレィン型を用いているが、前後径間の不平均張力対策と思われる。

 ヨーロッパで、懸垂箇所によく見られるジャンパ線のような形状の添え線は、微風振動対策の装置であろう。


 


  1回線送電線の場合は、3角配列えぼし型鉄塔が多く用いられている。

 最外側線の水平距離(下アーム幅)は、だいたい26mと思われる。

 ここでも、2連懸垂がいし装置の、がいし列び方向は、線路と直角方向となっていて、我が国とは異なる向きにセットされている。


 セーヌ川をクルーズ中、河口に近い地点で河川横断している線路を撮影したのが、右写真である。

 大西洋からの、大型船舶がセーヌ川を航行するため、電線水面高を高くしなければならず、また、川幅も500mほどになり径間長が長く、横断鉄塔は高鉄塔となり、特殊設計鉄塔が建設されていた。

 前述した、支線付き鋼管鉄塔で、Guyed Towerと呼ばれているものの一種である。

 本送電線の一般箇所は、ドナウ型で、セーヌ川横断箇所だけ2基が特殊鉄塔であった。

 将来は、下段アームに2回線が増設できる設計になっているようだ。

 航空標識として、鉄塔には赤白塗色が施され、本線には、静電誘導方式航空障害灯が設置されていた。


 セーヌ川をクルーズ中、川の右岸に面してE.D.Fの火力発電所(Porcheville発電所)があったが、そこから川を横断して対岸(左岸)の丘の上に、400KV4回線が引き出されており、右写真のようにえぼし型鉄塔4基が並んで建っていた。

 フランスでは、発変電所の引き出し、引き込み鉄塔は殆ど、このようにえぼし型鉄塔を使用した設計になっている。

 河川横断のため、航空標識を設置する必要があるため、左端回線の架空地線に球形・ボール状の標識が設置されており、鉄塔には赤白塗色が施されていた。
 また、本線には、静電誘導方式航空障害灯も設置されていた。


 上記の箇所の下流川からの望遠写真であるが、次の支持物以降の一般箇所は、2回線垂直配列の鉄塔線路であることが分かった。


 下流川から見た火力発電所の全景である。

 写真、右側に見える白い鉄構から、送電線が右方向に引き出され、上写真の丘の上のえぼし型鉄塔に至っている。


 発電所引き出し鉄構のクローズアップ写真である。

 ラーメン構造とし、鋼材を溶接した造りになっている。

 川横断の大きな電線荷重を引き留めるため、塔体は支線で補強されており、また、主アームは鋼支線で吊っている。

 本線のがいしは、高強度がいし1連20個が使用されているが、ジャンパ吊りのがいしは標準がいしと思われる強度の低いがいしで、1連32個が使用されていた。


3.220KV送電線  ( 220kV power transmission lines)


 220KV送電線は、今回見た限りでは、電線はすべて単導体であり、複導体は見られなかった。

 支持物形状は、建設年代の違いと、ルートの自然環境・社会環境に応じて、バラエティーに富んだ、多くのものを見ることが出来た。

 がいしの一連個数は、使用されているガラスがいしの強度・型の種類により異なるが、一連10〜15個であった。電線は単導体で、コロナ防止のため比較的太い(直径40mm程度の)電線を使用しているので、強度の強いがいし型が使用されていると思われる。


 最も一般的な、2回線垂直配列の線路である。

 セーヌ川横断で、やや高鉄塔になるため赤白昼間航空障害標識を施し、架空地線には赤白ボールを施設している。

 我が国と多少違う構造は、架空地線アームの上に更に塔体が突き出ていることである。
 架空地線の上に塔体を突き出す必要性は、全くないと思われるのに、わざわざ3角形状の塔体を設けている。
 この理由としては、ここには設置していないが、このタイプの鉄塔で、場所により避雷針を設置するため、鉄塔はその規格で製作され、このような構造になっているのかもしれない。


 鉄塔主柱材は、上アーム取付箇所から下部を全て十字材としている。
 大きな荷重に対応させるため、通常は幅の広い等辺山形鋼材を使用するが、そうしないで、幅の狭い等辺山形鋼材を2本、十字断面に組み合わせて用いている。
 
 このように、十字材を用いている鉄塔は、他にも多く見られた。

 単価の安い汎用鋼材を2本用いたほうが、単価の高い大型鋼材を1本用いるより、建設費が安価に納まるので、十字材を用いているのであろう。


 この線路は、架空地線が設置していないが、代わりに避雷針が設置してある。

 フランスの送電線では、所々でこのような設計の箇所が見られた。

 また、水平角度のある場所での、懸垂鉄塔の適用で、がいしが横ぶれしているが、この振れ角を抑制するため、錘を取り付けている。

 欧米では、このような角度懸垂設備は比較的多いようだ。


 鋼管単柱の線路である。

 我が国で、環境調和型の支持物として各所で用いられているものと、同様のものである。


 我が国で、4回線鉄塔を建設する場合は、殆ど縦方向・垂直方向に併架させるが、ヨーロッパでは、横方向に併架させることが多い。
 この鉄塔も、横方向に4回線併架させている。

 たまたま、利用可能国土の広い国にあっても、部分的に送電線ルートを確保するのに、苦労する環境の場所があるようで、この写真を撮った近くでは、起伏のある地形状況のためか、垂直配列支持物が殆どで、フランス国内で多く見られるドナウ型または水平配列鉄塔は、見られなかった。


 冒頭に掲げた、750KV設計の送電線と並走している線路で、1回線3段千鳥配列の鉄塔線路が、広い耕作地帯の中を、2ルート経過していた。


 220KV線路としては、2回線垂直配列とともに多く見られた形状の線路で、2回線ドナウ型の鉄塔線路である。

 フランスでは、220KV線路には、このドナウ型が最も多く用いられているようだ。

 架空地線に、コブのようなものが見られるが、昼間航空障害標識で、「その他」の項で述べるが、電線をグルグル巻きにした装置である。

 水平角度箇所の懸垂鉄塔のため、がいしが常時横ぶれしており、横ぶれ角を抑制するため、錘を取り付けている。


 この写真のようなえぼし型鉄塔も、広大な耕作地帯などで、多く見られた。

 2回線送電線の場合、2回線鉄塔とせず、2ルート並走させているのが、随所に見られた。


 えぼし型鉄塔で、2回線架線のものは、この写真の箇所だけで、特に珍しかった。

 この鉄塔が、数基続いた前後は、2回線垂直配列鉄塔であった。
 支持物高さを、特に低くしなければならない状況があったのであろうか。


 セーヌ川を横断する箇所で、電線水面高を、大型船舶対策として、高くしなければならないため、高鉄塔としたものである。

 鋼管4本と、鋼支線でシンプルに作られている。

 220KV、3回線が架線されている。

 いずれ将来には、下アームに90KV級線路が2回線増架出来る設計のようだ。


 セーヌ川横断の鉄塔の中で、見た限りでは、最も高い鉄塔であった。

 正確ではないが、その高さは、100m以上はあるようだ。

 全ての部材が、単材ではなく、トラス構造の、複合部材で構成され、いかにも強度が高いと思われる鉄塔である。


 下アームに、220KVが2回線架線され、上アームには、90KVが1回線架線されている。
 将来は、更に2回線増架可能な設計となっている。

 本鉄塔は、フランスでも大型支持物として、一二を争う規模のものではないかと思われる。

 この鉄塔の前後は、背後に見えるように、水平配列えぼし型鉄塔が使用されていた。

 なお、最左端の電力線に、静電誘導方式航空障害灯が設置されているのが見える。また、架空地線に設置する、ボール標識が最左端の電力線にも設置されている。


4.150KV以下ローカル(Local)送電線  (Local power transmission lines equal to or less than 220kV)


 一般的な、2回線垂直配列鉄塔を使用した線路が多かったが、本項では、ごく一般的な設備は省き、我が国には無い、珍しいタイプの設備について、選んで、掲載する。


 右写真は、63KVローカル送電線である。

 鉄塔形状は、特に目新しいものではないが、2連懸垂がいし装置の電線クランプが、がいし連毎に、2個使用されているのが、我が国と異なる。

 我が国では、がいしの下部にヨークを使用し、そのヨークに1個のクランプを使用して電線を懸架するのが一般的である。

 我が国では、懸垂クランプは比較的高価な金具であるが、フランスに限らずヨーロッパでは、見た限りでは、極めて簡素な造りのクランプであり、敢えてヨークを使用せず、2個のクランプを使用しても建設費に大差ないのかもしれない。

 なお、左右回線で、がいし装置の設計が異なるとともに、微風振動対策と思われる、添え線が一方の回線にしかついてないのが、なぜか不可解である。


 上部だけを見ると、特に変哲もない矩形鉄塔であるが、下部に行くに従い、矩形方向が直角方向に捻れる形状になっているのが、めずらしい形状である。

 そのままでは、横方向からの風圧加重に弱いので、支線で補強をしている。

 建設時期は、相当に古いものであろうと推測される。

 電圧は、63KVであろう。この鉄塔も懸垂クランプが2個使用されている。


 右写真は、支線付き鋼管鉄塔で、Guyed Towerと呼ばれているものの一種である。
 
 鋼支線と4本の鋼管で構成され、極めてシンプルな構造である。

 前後の支持物は、3段千鳥配列の、一般的なトラス構造の1回線鉄塔であった。

 90KV送電線である。


 単柱鋼管を用いた90KV送電線である。

 3段アーム千鳥型配列で、3回線(3ルート)が並走している。

 このタイプの単柱鋼管支持物は、随所に見られ、規格化、量産されているようだ。


 これも、我が国では珍しい、四角断面コンクリート柱を用いた、ものである。
 建設年代は、だいぶ古い線路であるようだ。

 電圧は、63KVである。

 角度箇所懸垂のため、横ぶれ抑制装置として、錘を使用している。


 上記線路の末端箇所である。

 えぼし型鉄塔を使用して、地中ケーブルに引き下ろしている。

 我が国であれば、人身安全対策として、立ち入り禁止のガードを、鉄塔周りに張り巡らし、容易に第三者が容易に近づけないようにするに違いないが、それに比べると、比較的ラフな設備である。


 63KV送電線である。

 我が国でも、同様な地中ケーブル引き下げ鉄塔は、多く見られるが、ケーブルを鋼パイプと思われるガイドに沿わせて、塔体に引き下ろしているのが、ややユニークと思われ、掲載した。



5.単相(Single-phase)送電線  (Single-phase power transmission lines)


 以下3枚の写真は、TGVの車窓から撮ったものであるが、TGV専用変電所に供給する専用線路である。

 フランスの新幹線は、ドイツと同様、機関車が客車を牽引するタイプの鉄道であるが、ドイツが15KV,16.7Hz仕様の機関車に対して、25KV,50Hz仕様であり、ドイツのように専用周波数の供給回線を全土に張り巡らさないでも、周波数が電力会社と同じなので、電力会社の変電所から一般送電線で供給でき、TGV専用送電線は張り巡らす必要はない。

 ただ、三相交流は不要で、単相でよいので、TGV専用バンクがある変電所からは、所々で単相送電線が建設されているようだ。

 今回見ることが出来た送電線は、特に単相送電線として設計したものではなく、一般の三相交流用鉄塔を流用したものであった。

 電圧は、220KVであろう。


 直角に、電線を引き回す箇所については、回線毎に鉄塔が建設されていた。

 鉄塔は、一般のものをそのまま使用していた。


 上の写真と同様の条件の箇所であるが、1基の鉄塔で直角引き回しをさせているものもあった。

 上記と同様、鉄塔は、一般のものをそのまま使用していた。



6.その他 (航空障害標識、など)  (Others)


 セーヌ川クルーズ中、川を横断する送電線には、全て航空障害標識が設置されているのを見た。これは、昼夜間ともに、川を目標に有視界飛行をする、航空機に対して設置されているものである。

 夜明け前に、甲板に出てみると、220KV送電線の川横断箇所に、静電誘導方式の航空障害灯が設置されているのが見えた。

 光度は、高くないが、径間途中にも数多く設置されており、送電線の存在が十分認識できるようになっていた。


 写真は220KV用の装置である。

 220KVでは、装置の長さは約10mと思われ、90KVでは、その倍以上の25m程になっているようだ。


 上記の、夜間航空障害標識と同時に、昼間標識としては、鉄塔の赤白塗色、および架空地線に赤白ボール標識が設置されていた。

 右写真は、400KV線路の架空地線に設置された、赤ボールを撮ったものである。

 同時に、2導体スペーサが撮れているが、スプリング式が使用されている。


 架空地線に赤白ボール標識が設置されていた他に、右のような設備も見られた。

 昼間航空障害標識として取り付けたものであろう。


 同上設備である。


 更に、右のような設備も見られた。目的は、同じであろう。


 送電線を撮影中、たまたま、ヘリコプターパトロールを撮影できた。

 機体の底面には、「RTE」の文字が表示されていたが、送変電関連設備を所有、運用しているRTE会社自らが所有している機体と思われる。



Coffee Break   (配電線、など) (Distribution lines)


 フランスの配電系統は、冒頭記述したように高圧系統A(10KV,15KV,20KV)として区分されており、この系統の線路が、国中至る所に走っているようだ。

 そして、この系統の設備は、どこも右写真のようにコンクリートポールの頂部に傘型形状のアームを取付け、電線を懸架している。

 一般家庭では、この系統から、低圧系統(230V,400V)に、要所要所でトランスで降圧されて、受電しているようだ。


 クローズアップ写真である。

 がいし一連個数は、電圧に応じて、2〜3個である。



 最後までご覧いただき感謝します。

 フランスの旅行では、セーヌ川をパリから大西洋河口まで、4日間のゆったりとしたクルージングをしたが、船上で多くの河川横断の送電線をじっくり撮影できて良かった。


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南フランスの送電線  (2015.03.05)


 上述のように、サイト開設者がフランスを訪問したのは首都のパリから北部方面で、南部の地中海方面は全く訪問していなかった。

 しかし、この度、懇意にしている知人の赤坂広二氏が2015年2月1日〜12日にかけて南フランス・プロバンス地方を旅行された際に撮られた送電線写真を提供していただけたので早速掲載させていただくこととし、一層充実した内容にすることができて大変感謝している次第であります。
 右写真は、その時撮影されたローヌ川の途中で途切れたアヴィニヨンのサン・ベネゼ橋である。

 なお、赤坂氏は、2012年8月にベネルクス3国を、また2013年にスペインを旅行された際に撮られた送電線写真を提供していただけた方で、大変お世話になっている方である




 右図は、プロバンス地方の400kV送電線概略図である。

 南フランス・プロバンス地方の400kV基幹送電系統は右図の画面上部中央にあるTAVEL SS(SS=変電所::Sub Station)を拠点変電所としてフランス中央部および北部地域と400kVで連系している。

 すなわち、400kVえぼし型2回線鉄塔送電線、2ルートで中部および北部系統と堅固な連系を保っている。

 また、この拠点のTAVEL SSから西方のモンペリエ方面、並びに東方のマルセイユおよびコート・ダジュールのニース、カンヌ方面に扇状に400kV基幹電力網を伸ばしている。

 さて、赤坂広二氏の旅行は右図で右側(東側)に示すルションから西方に向かいラコステ〜アヴィニヨン〜ポンデュガール〜ニーム〜モンペリエなどを訪問されたとのことである。




 上に掲載した400kV送電線ルート概略図において、アヴィニヨンからポンデュガール方面に、西に延びる道路があるが、その道路とTAVEL SSから南下する400kV送電線が3ルート交差している。

 右写真は、東に向かう2ルートが併走してその道路を横断している場所で撮影したものである。
 南方向にカメラを向けて撮ったもので、左側のドナウ型鉄塔送電線がBOUTRE SS
へ、
右側のえぼし型鉄塔送電線がマルセイユ方面のREALTOR SSへ向かういずれも400kV送電線である。

 フランスの最高運転電圧は現在 (2015年現在) 400KVであるが、将来の次期電圧として750KVが計画されている。
 写真のえぼし型鉄塔は、先行して750KV1回線用三角配列えぼし型鉄塔として設計・建設されており、その鉄塔に現在は、400KV2回線が架線されている。


 ドナウ型鉄塔のクローズアップ写真である。

 電線は逆三角形配列の3導体である。

 我が国と異なり、欧米の線路では小さな水平角度のある場所でも、触れっぱなしの懸垂装置で対応しているのが普通であり、この鉄塔もその例に漏れず、がいし装置は5度程度横ぶれしている。




 上の写真と同じ線路を別の場所で撮った写真であるが、ルートの水平角度がかなり大きく、常時のがいし装置の横ぶれ角度が大きいのでそれを抑制するため懸垂クランプの下に錘を設置している。


 上の写真のがいし装置のクローズアップである。

 がいしは、ガラスがいしを用い、4個ごとに深ひだがいし(耐霧がいし)を使用して、一般には一連がいし個数は19個のところ18個連結で1個少ない個数で設計・運用している。
 ただ、アース側端(上端)のがいしは上記の規則にかかわらず深ひだがいしを使用している。

 また、最下端に触れっぱなしの懸垂装置角度を抑制する目的で設置した錘が見える。

 なお、微風振動対策としてペートダンパ(添え線)を設置している。

 ところで、欧米の送電線では、がいし装置にアーキングホーンを設置することは少ないが、本送電線では電線側およびアース側ともにホーンを設置しているのが珍しい。


 右写真は3導体スペーサである。

 我が国で使用しているスペーサは、多導体を構成している電線が個々に何らかの事情で線路方向に僅かでもずれた場合を想定して、それに対応し電線クランプ部に首振り(ヒンジ)機構を設けているが、このスペーサはその様な機構を設けず至ってシンプルである。




 次に、2ルート併走写真の右側に写っているえぼし型鉄塔送電線を解説する。

 右写真は、併走区間で右側のえぼし型鉄塔送電線の写真であるが、撮影は別の場所(サン・レミ・ド・プロバンスからアヴィニヨンに北上する途中)で撮った同一送電線の写真である。

 ドナウ型の鉄塔線路は3導体だが、えぼし型の本線路は2導体を使用している。

 また、がいし装置はV吊り装置と直吊り装置を使い分けして使用している。
 V吊り装置の開き角度は60度である。

 本鉄塔では電線の引き下げ荷重が少ないために、強風時にはがいし装置が浮き上がる可能性があるためか、錘を使用している。(次の写真参照)


 がいし部分をクローズアップした写真であるが、使用がいしはガラスがいしで、一連19個連結である。

 また、がいし装置の下に四角形の錘を使用しているのがよく分かる。

 


 右写真は、がいし装置に錘を使用していない標準的な鉄塔である。


 さて、上記の2ルート併走撮影地点から少し西に移動すると、アヴィニヨンなど近くの都市に電力供給するARAMON SS(変電所)へ向かう400kVえぼし型鉄塔の送電線に出会う。

 この送電線は、上述のえぼし型送電線と異なり、がいし装置は全て直吊りで、アームが3段になっている構造を採用している。

 750kV昇圧時には最下段のアームを撤去して、対応することになろう。

 このタイプの送電線は、この道路を更に西に向かうとモンペリエ方面に電力を供給するTAVEL〜TAMAREAU送電線交差するが、その線路でも同一の設計を採用している。

 電線は2導体で、がいしはガラスがいし、1連19個連結である。


 右写真は2導体スペーサのしゃしんである。

 我が国では見られない構造のスペーサである。




 右写真は、アヴィニヨン郊外で見られたもので、電圧は220kVのドナウ型送電線である。

 電線は単導体で、がいしはガラスがいし使用で一連12個連結である。

 写真、次の支持物は鋼管単柱鉄塔であるが、線下幅の抑制あるいは環境調和の要求から建設されたのであろう。


 上記と同様の220kV送電線で、モンペリエで撮影したものである。

 上記と同様、電線は単導体で、がいしはガラスがいし使用で一連12個連結である。


 上記の送電線を側面から撮ったものである。


 上記送電線のがいし装置をクローズアップした写真である。

 我が国では2連懸垂装置を使用する場合は、下方にもヨークを使用して懸垂クランプは1個を用いるのが標準設計であるが、フランスではヨークを省略して懸垂クランプを2個使用するのが標準のようである。

 懸垂クランプは比較的簡素な設計である。

 なお、架空地線及び電力線とも、微風振動対策としてペートダンパを使用しているのがよく分かる。



 右写真は、63KVローカル送電線であり、モンペリエで撮ったものである。

 がいしは一連6個連結で、ガラスがいし使用である。

 懸垂クランプは上記と同様、がいし連毎に2個使用している。

 特に目立つのは、携帯電話用と思われるアンテナが設置されていることである。

 なお、遙か遠方に千鳥型配列のローカル送電線が見えるが、ルートによって支持物を柔軟に使い分けしている様子がうかがえる。


 上記鉄塔のクローズアップ写真である。

 アンテナからの太いケーブルが、鉄塔トラスの中を通っており、保守の妨げにならないかと余計な心配をしてしまう。




 赤坂氏がフランスに着いた2月1日、プロバンス地方こ5年ぶりの積雪が有り、500世帯位の停電も有った模様で、比重0.6位の湿雪であったと想定されている。

 右写真は雪害のあった地域の内のカラフルな粘土作りで有名な小さな村、ルションの積雪風景で、普段あまり積雪のない地方の雪景色は誠に珍しいと思われる。




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