標題1

海外の送電線
Germany

2006.12.01新設

I traveled in Germany in September, 2006. I traveled in the famous "romantic highway" from Frankfurt to Fussen.
I took the power transmission line of many kinds in the trip. In this page, I display those photographs.
 ドイツには、2006年9月に旅行をした。
 旅行地はフランクフルトからハイデルベルク、ローテンブルク、そこからロマンチック街道を南下し、ミュンヘンおよびフュッセンに行き、少し東のオーバーアマガウから一旦国境を越えてオーストリアに出た。その後、再びローゼンハイムからドイツに入り、アルペン街道を東にオーストリア国境まで、大雑把に700Kmほどの距離を旅行し、多くの送電線を見た。

 ドイツは、面積35.7万Kuで日本とほぼ同じ(日本の94%の)広さの国であるが、日本は山岳地帯が2/3を占めており、利用できる平地面積が狭いのに比較して、ドイツではほとんどが平地およびなだらかな丘陵地帯で、広大な土地を有効活用出来る地形であることが、我が国との大きな違いである。
 したがって、送電線も日本に比較して直線的にゆったりとしたルートをとっている。

 3相3線式の送電線は、ドイツが発祥の地であり、その歴史は最も古く、各国はドイツを手本に開発をしてきた経緯がある。

 使用電圧は、地方系統は60KV以下、主要系統では110KV、220KV、380KVが使用されている。
 なお、ドイツの電圧呼称区分としては、220KV以上を超高圧、110KVを高圧、60KV〜20KV〜1KVを中圧、1KV未満を低圧としている。


 そのドイツの送電線は、線下面積を気にせず、頑なに水平配列またはドナウ型に徹した設計を採用しているのが大きな特徴である。
 その設計の根幹には、支持物高さを極力低くすることに徹する設計思想があるようだ。
 あるいは耐氷雪設計を重視して、水平配列を選択していることもあるのかもしれない。
 出会えた送電線の約50%がドナウ型、約25%が水平配列送電線であった。

 送電線線下の土地補償形態が不明なので、建設費に占める用地費の比率が分からないが、もし我が国で標準的に水平配列を採用したなら、建設費が高騰すると共に、狭い平地におけるルート選定そのものが不可能になるであろう。

 送電線建設技術者の立場からみると、ドイツは誠に羨ましい国柄である。

 導体方式は220KV系統で水平または垂直2導体、380KV系統で4導体が主に使用されており、イタリアなどで多く採用されている3導体は使用されていないようである。
 がいしは主として長幹がいしを用い、欧米で主として使用されているガラスがいしはほとんど見られなかった。

 なお、我が国には見られない、特殊な送電線を見ることが出来た。すなわち、ドイツ鉄道(Deutshe Bahn、我が国のJRと同様の民間鉄道会社でドイツ全体に線路網を持つ会社)の専用送電線で、単相送電線(周波数:16.7Hz)、および一般電力会社の3相4線式送電線などである。

 なお、以下に掲載する写真は、そのほとんどを乗り物の中から取っており、窓ガラスの反射光が写っていて見にくいものがあるが、ご容赦いただきたい。

掲載目次

1.水平配列送電線   (Conductor horizontal sequence type Supports)

2.ドナウ型送電線   (Danube type supports)

3.垂直・三角配列送電線   (Standard conductor sequence and triangle type power transmission lines)

4.UHV設計送電線   (UHV design supports)

5.単相送電線   (Single-phase power transmission lines)

6.3相4線式送電線   (A 3 phase 4 conductor type power transmission line)

7.その他(特殊鉄塔、撚架鉄塔、三角配列、航空障害標識、ミステリー鉄塔など) (Others)

Coffee Break(田舎の配電線) (Distribution lines of the country)

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1.水平配列送電線   (Conductor horizontal sequence type Supports)

 冒頭に説明したとおり、見ることが出来た送電線のうち、約25%が水平配列送電線であり、比較的多かった。
 その構造上アームが横に長くなるので、低い電圧の送電線が多かったが、なかには220KV2導体の送電線もあった。

   (1)110KV以下の送電線

 ドイツに入国して、真っ先に目に飛び込んできたのが2cct(2回線)水平配列の送電線であった。

 2cct水平配列の送電線は横幅が広く、110KV送電線で、電線間隔が4.5m前後と思われ、アーム長さは約30m弱にもなり、電圧が高い送電線ではアーム幅が異常に広くなるので、確認できた送電線はほとんどが110KV以下の送電線であった。
 しかし、なかには220KVの2導体送電線も見られた。

 大体、アーム地上高と、アーム長さが同じようであった。

 塔体は比較的細く、鉄柱かと思えるようにテーパーもあまり付かず、スレンダーであった。

 アーム先端が最外側線からさらに伸びているが、その理由はよく分からない。

 ジャンパ線は、前後径間の電線をオーバーラップして接続している。

 右写真のように、オーバーラップさせた電線を2箇所で圧縮接続させている。

 今回見たどの線路も、電圧に関係なく、複導体線路でも同様なジャンパ線であった。

 引留クランプは、圧縮型、くさび型などを使用しているが、何れのクランプ使用線路でもジャンパ線部分で電線を切断して接続している。
 どんな架線工法を採っているのか知りたいところである。

 なお、これがジャンパ線の横振れ抑制にもなっているようにみえる。


 線下樹木は、幅40m以上にわたって伐採されており、電線地上高は比較的低かった。

 2連懸垂がいし装置は、耐張がいし装置と同様に、支持物側は2点支持方式である。
 また、線路と直角方向に2連並べて取り付けられているが、我が国ではほとんど線路方向に並べるのと違い、我々には珍しい。
 しかし、使用がいしが長幹がいしなので、横振れ時のがいし撓みは考慮しなくて良く、この取付方向でも、横振れ時の風下側の撓みによる局部放電問題は無いようだ。

 かえって、横振れ時にがいし装置で、横振れ抑制が出来そうだ。

 塔体は、耐張形鉄塔よりも更にスレンダーである。


 電線を把持する懸垂クランプは極めてシンプルで、単に電線をただ1点で吊っているようにみえる。

 電線防護のアーマーロッドは薄い厚さのものが付いているが、ダンパはない。

 我が国とは、気象条件・設計条件のの違いがあるとはいえ、ずいぶん簡単な装備である。

 確認できた送電線は、ほとんどがこのような簡単な装置であった。

 また、使用がいしは、電圧に関係なくほとんどが長幹がいしであった。

 欧米では、多くの国でガラスがいしが用いられているが、その中でドイツで長幹がいしが主として使用されているのは、世界に先駆けてドイツが長幹がいしを開発してきた歴史的経緯があるためと思われる。


   (2)220KV送電線

 2cct水平配列送電線で最も大きな設備は、右の写真の送電線であった。

 2導体方式、V吊りがいし装置の送電線で、電線間隔は約5m、アーム幅は36〜38m程の大きさであった。

 我が国の標準型(垂直配列)UHV100万V送電線は、アーム幅(左右電線間隔)が32〜39mであるが、220KVでそれに匹敵する線下幅を必要とするわけで、低い電圧の割には専用する線下面積が広いことが分かる

 特に、2導体の電線荷重を支えるアームは、他の送電線に比較して頑丈に出来ていたのが印象に残った。

 電線把持部の構造は単導体と同様で、至極簡素な吊り方式である。

 GWが塔体頂部には無くて、左右のアーム先端近くに設置されているのが面白かった。

 なお、この送電線でも、塔体はスレンダーであった。

 窓ガラスの反射光が写っていて見にくいが、ご容赦いただきたい。


   (3)4回線送電線

 旅行中に、1線路だけ4cct併架送電線を見ることが出来た。

 用地が潤沢に確保できる土地柄であっても、場所によっては併架設計が必要となる箇所があるようだ。

 110KVと、60KV以下の送電線の併架設計だろう。



   (4)水平配列オンパレード

 前述の4cct併架送電線とは対照的に、水平配列送電線が堂々と数ルートも並走している箇所もあった。

 写真の最右端の送電線は220KV2導体、中央は220KV単導体1cct、最左端は60KV前後の線路である。
 写真にはないが、さらに左側にもう1ルート経過し、4ルートが並走していた。

 我が国の現状と比較して、まことに羨ましい限りの、ゆったりした送電線施設状況であった。


 この写真も水平配列送電線が、2ルート並走している箇所のものである。

 右側が110KV、左の小型のものが60KV以下のローカル送電線であろう。

 耕作地の真ん中を堂々と並走している様子は、思い切り腕を伸ばして通過していて、大変のどかである。


   (5)変電所1回線π引き込み

 2cct水平配列の送電線の内、片側1cctをローカル変電所にπ引き込みしている箇所である。

 水平配列送電線なので、電線の配置換えなどのやっかいな操作は不要で、引き下ろし箇所はまことにスッキリとしている。


   (6)ローカル・コンクリート柱送電線

 20KV程度の電圧の、ローカル送電線であろう。コンクリートポールを使用した送電線である。

 コンクリート柱に頂部から金属製のキャップを差し込み、それにアームを取り付けたもので、おそらく汎用製品が使用されているのだろう。

 極めてスッキリとしている。

 前述したが、電線を把持するクランプはひどく簡素なもので、電線損傷が生じないか設計者に是非聞いてみたいものである(支持点は、クランプではなく、ローラー(滑車)上に電線を載せているだけのようにも見える)。


   (7)配列替え送電線

 当然のことながら、送電線のルートは地域条件が異なるところを経過するので、地域条件によって設備形態を変えることになる。

 写真は、手前が水平配列鉄塔、次がドナウ型鉄塔、その次の左に見えるのが垂直配列の鉄塔で、手前から次第に線幅を縮小している。
 用地事情によるものであろう。

 なお、「7.その他」の項で述べるが、水平配列の左側2相が配置換えをしており、部分撚架をしている。
 他にもこのような部分撚架を、数カ所見ることが出来た。

 最左端の垂直配列鉄塔は、特に塔体が細く鉄柱かと思えるほどにスレンダーである。鉄塔立地用地条件によるものであろうか。




2.ドナウ型送電線
  (Danube type supports)


 冒頭に説明したとおり、見ることが出来た送電線のうち、約半数がドナウ型送電線であった。
 ドイツにおいては、ドナウ型送電線を標準的スタイルとして建設しているようだ。
 従って、超高圧からローカル系統まで、幅広く適用されている。

   (1)110KV以下の送電線


 ドイツを旅行中、最も多く見られたのは、右の写真のようなドナウ型の送電線であった。

 鉄塔は極めてスレンダーで、下アーム箇所でテーパーを変える我が国の基本的スタイルとは異なり、基礎直上でテーパーを変える拡大根開き方式を、多くの鉄塔で採用している。

 鉄塔の結構方式は、ほとんどの鉄塔がダブルワーレン方式を採用している。

 がいしは主として長幹がいしを用いており、なかには有機がいしを用いているものもある。

 また、前述の通り2連懸垂装置は、ほとんどが線路と直角方向に並べられており、我が国とは異なるがいし装置の取付方をしている。

 鉄塔昇降時に用いる安全ガイド装置だろうか、塔体の一面中央に垂直にロッドが設備されて、写真では見にくいが、それにステップボルトが付いている。


 耐張鉄塔のジャンパ線は、水平配列の項でも述べたが、ジャンパ線の中央に電線がダブルに張られており、電線をオーバーラップ接続させているのであろう。

 電線の防振対策は、我が国に比較し設計基準が緩いようで、写真のようにダンパの施設されていないものが多かった。気象条件の違いだろうか。
 一方、よく見るとGWには、ストックブリッジダンパが施設されていた。
 


 特殊ながいし装置を使用している送電線を見ることが出来た。

 右の写真は、軽角度箇所で懸垂鉄塔を適用するため、セミストレインがいし装置を採用している。
 すなわち、ドイツでは2連懸垂装置を線路と直角方向に並べる設計だが、水平角度があるとがいしが常時横振れ状態となり、2連装置の機能が発揮できないと思われ、そのためセミストレインがいし装置を採用していると思われる。

 左の写真は、下アームの電線水平間隔を狭めた設計としたため、がいし装置の横振れを抑制する目的で、V吊り装置を採用しているものと思われる。


 ローカル末端系統の30KV以下の送電線であろう。

 左右で電圧が異なり、右が高く、左が低い系統の併架送電線である。

 支持物は鋼管柱のようであり、それに鋼材アームを取り付けた汎用柱であろう。

 がいしは特殊がいしで、昔(1920年頃)の「2枚笠モートルがいし」に酷似している。

 支持物が最近建設されたもののようにも見えるが、がいしも最近製造されたものだろうか。
 現在でもこのようながいしが製造されているのは聞いたことがない。
 あるいは、80年以上前に建設された古い送電線だろうか。

 珍しくもあり、不思議な設備である。


   (2)220KV送電線


 220KV送電線は、一部に単導体も見られたがほとんどは2導体であった。

 2導体は水平2導体と垂直2導体が用いられており、我が国では垂直2導体方式はごく一部でしか見られないのに対して、2導体の3割くらいは垂直2導体方式であった。

 右写真も垂直2導体方式である。

 電線を把持する懸垂クランプは簡素な作りであるが、電線保護のアーマーロッドおよびストックブリッジダンパは施設されていた。

 220KV送電線では、がいしは長幹がいしの場合、2本連結が標準的装置と思われる。

 ちょっと不思議なのは、2段アームの中間に1条電線が架線されているが、その目的は何であろうか。
 勝手な想像では通信用光ケーブルを格納したOPGWかもしれない。


 右写真は、左側が220KV2導体と、右側が110KV単導体の併架鉄塔である。

 ローカル系統では、このように異電圧併架鉄塔が随所でみられた。

 写真では見にくいが、2導体スペーサは、ループ型のワイヤを電線に巻き付ける方式のスペーサを用いており、両端のクランプで電線に固定する方式ではなく、我が国では見られない珍しいスペーサであった。

 なお、右側の110KV単導体の送電線は、最外側線だけが2導体であるが、その理由はよく分からない。
 また、上アーム吊り材位置に電線が張られており、上の写真の送電線でも同様な電線が見られるが、前述同様保安用通信線(光ケーブル)かもしれない。

 2導体の素導体間隔は、正確には分からないが、40p程度と思われる。

 2連懸垂がいし装置のがいし間隔は、60p程度であろう。


   (3)380KV送電線


 ドイツにおける最高運転電圧は、現在380KVである。

 右写真はその380KV送電線であり、ドイツではこの写真のドナウ型鉄塔が、380KV送電線の標準形態として随所で見られる。

 鉄塔は、110KV、220KVと同様に一段テーパーで、地際の部分が拡大根開きになっている。結構はダブルワーレン結構である。
 電線水平間隔は7m、アーム長は全長約30mであろう。

 架空地線は、塔頂と上アームの先端とに合計3条施設されており、耐雷対策には万全を期しているようだ。ただ、場所によっては(次写真)塔頂に1条のみの設計箇所もあり、その適用はどのような基準だろうか。

 がいしは、長幹がいし3本連結である。

 380KV送電線の電線は、すべて4導体方式を採用しているようだ。

 その4導体スペーサは、2導体スペーサの組み合わせ方式を採用している。
すなわち、まず水平に2導体スペーサを2個取り付け、次に垂直に2導体スペーサを2個取り付け、水平、垂直取付を交互に行っている。

 場所によっては、耐張支持物直近のみ、4導体スペーサを使用している送電線もみられた(後に掲載)。


 上記とは別の送電線であるが、架空地線は塔頂の1条のみである。

 旅行した地域のドイツの地形はほぼ平坦で、山岳地形の多い我が国のように、地域的に襲雷頻度が大きく異なることは、無いと思われる。

 従って、架空地線の1条〜3条設計の適用区分は、変電所の近くで耐雷設計を特に強化することを目的に、変電所直近では3条にしているのではないかと思われる。

 懸垂箇所の電線把持クランプは、我が国の場合は4条の素線ごとに懸垂クランプを用いているが、写真で分かるとおり縦2条を一括して吊架している。
我が国に比較してだいぶ簡素な設計である。



 右は耐張鉄塔の写真である。

 2連耐張がいし装置は、我が国で多用されていると同様の、鉄塔側2点支持方式を採用している。

 ジャンパ線は、我が国では圧縮引留クランプのジャンパ線引き下げ箇所に、ジャンパ線の横振れ荷重および振動荷重が直接加わらないよう、補強線を設け、その荷重を抑制・低減する方式を採ることが多いが、ドイツではジャンパ線の中央でジャンパ線をオーバーラップさせた構造にして、引留クランプ部分はスッキリした設備になっている。

 本鉄塔が、架空地線1条区間と3条区間の堺の鉄塔である。左が1条区間、右が3条区間になっている。


 写真は、3連耐張がいし装置を用いている送電線である。

 がいし装置の鉄塔側は、連ごとに支持する3点支持方式を採っている。

 電線側は、まず縦2条の張力を縦2連ヨークで受け、それを水平2連ヨークで水平に変換し、さらに3連バランスヨークで各がいし連に張力を伝達する方法で、我が国のがいし装置と同様な構造になっている。

 また、4導体送電線のスペーサは、2導体スペーサの組み合わせが主であるが、ここでは鉄塔から2個目までは4導体スペーサを使用している。


 

   (4)4回線併架送電線


 この送電線は、上部380KV4導体2cctドナウ型配列と220KV水平2導体2cct水平配列の4回線併架である。

 ドイツでは、主にドナウ型が建設されているが、その線下幅は広く、その下部に低電圧の送電線を水平配列として併架しても、併架による建設費増加は比較的少額で済む場合が多いものと思われる。

 したがって、ドナウ型の下部に低い電圧の線路を水平配列で併架しているケース(なかには、同一電圧併架のものもあった)が多く見られた。
 旅行中見ることが出来たドナウ型のうち3割くらいは、4回線併架タイプの送電線であった。


 


 これは、上部が220KV水平2導体、下部が110KV水平配列の送電線である。

 耐張重角度箇所の鉄塔のため、見るからにがっちりした鉄塔構造となっている。

 



3.垂直・三角配列送電線  (Standard conductor sequence and triangle type power transmission lines)


 我が国では、垂直配列が標準的な送電線形態であるのに対し、ドイツでは前述の通りドナウ型が主であり、3段アームの垂直または三角配列送電線は、旅行中一割位しか見られなかった。

   (1)三角配列送電線


 垂直3段アームの送電線でも、ドイツでは同一アームに複数の相(電線)を配置するものが多く見られた。

 この写真は、220KV三角配列2cct4導体、110KV三角配列2cct2導体の併架送電線である。

 220KVにしては鉄塔が巨大であるので、380KV設計の鉄塔であろう。
 勝手な想像だが長幹がいしを各相に1本ずつ追加設置すれば、電線はそのままで380KVと220KVに昇圧可能に見える。

 なお、背景に写っている垂直配列送電線、特殊な形状の送電線は別掲説明する。

 また、背景に数ルートの送電線が林立しているが、ここは拠点変電所の近傍で、帯状に送電線専用の用地が確保されているいわゆる Right of Way であろう。


上記と同じ場所で撮影した同じ送電線で、耐張形鉄塔の写真である。

 4導体のがいし装置は3連耐張装置を使用している。


 これは、380KV三角配列1cct4導体、110KV水平配列2cctの併架鉄塔である。

 鉄塔の設計は380KV三角配列2cctと、その下部に220KV三角配列2cctが併架出来る、4回線鉄塔であろう。



 ドイツでは、昼間航空標識(赤白塗色)はほとんど見られなかったが、この鉄塔の前後の鉄塔は塗色されていた。

 塗色方法は、我が国では、塔頂から地上の間を最低7区分に奇数分割し、塔頂を赤色にし、赤白交互に塗り分けることになっている。(航空法で制定)

 しかし、ドイツでは横方向にも赤白の塗り分けをしており、我が国とは異なる塗色基準があるようだ。


   (2)垂直配列送電線


<110KV以下の送電線>

 左の懸垂鉄塔はオフセットが付いているが、右の耐張鉄塔はオールオフセットである。

 ドイツでは両方の鉄塔構造が混在している。

 左の鉄塔頂部に無線用アンテナがセットされているが、ドイツでは幹線道路沿いの鉄塔には所々に見られた。

 左の懸垂がいしは有機がいしのように思われる。
 何回も述べているが、がいしの吊り方が我が国と異なるのが、つい気になる。



<220KV単導体送電線>

 バスのフロントガラス越しに撮影したので、上部にガラスの色が写っている。

 左右の写真は同一の送電線である。

 基幹変電所付近の Right of Way にて撮影したので、平行している他の送電線が背景に写っている。

 右側の写真では地上高不足のためか、下線のみバランス型耐張がいし装置を用いている。



<220KV2導体送電線>

 右の写真では、右回線のみV吊りになっているが、その理由はよく分からない。特殊な設計の送電線である。

 がいしは、左右の写真とも、V吊りを含め長幹がいし2本連結である

 窓ガラスの反射光が写っていて見にくいが、ご容赦いただきたい。



<220KV アンテナ付送電線、3回線併架送電線>

 左の写真では、無線用のアンテナが頂部にセットされている。
 上述したが随所に見られ、無線通信会社との間でアンテナ設置の取り決めがなされ、送電線鉄塔をアンテナ塔として積極的に活用しているようだ。

 右の写真は、220KVと110KVとの併架鉄塔である。
 110KV回線の内塔体に近い左側の回線では、上相のみV吊りがいし装置となっているが、直吊りではクリアランスが不足するためと思われる。

 がいしは、220KVは長幹がいし2本連結、110KVは長幹がいし1本を使用している。



<380KV4導体送電線>

 写真は、380KV4回線設計の鉄塔であり、それに3回線が架線されている。

 電線は何れも4導体で、がいしは長幹がいし3本連結である。

 ドイツでは多回線化する場合には、縦に併架するのではなく横方向に併架するのが設計の基本にあるようだ。

 このため線路幅は広くならざるを得ず、最も広い中アームで35m程になっていると思われる。



4.UHV設計送電線   (UHV design supports)


 鉄塔高さの低い水平配列とドナウ型鉄塔の送電線ばかり見続けた眼前に、突然巨大な鉄塔が出現して、驚いた。

 場所は、ミュンヘンとアウクスブルクの中間(ミュンヘンの西側)で、拠点変電所近くであった。

(場所は、高速道路99号線付近で、Google Earth の座標文字列
48 11 52.49 N 11 26 12.28 E
付近である。この文字列をコピーしてGoogle Earthの検索窓に貼り付けると自動的にその場所に移動するので試していただきたい。
そこでStreet viewを使用すると右写真と同様の鉄塔写真が見られる。)

 電線、がいし装置は380KVの設備であるが、鉄塔はUHV設計用であろう。下アームの下部に、もう一段アームを増設できる構造になっているのが分かる。

 ヨーロッパのUHV電圧については、はっきりした情報を掴んでいないが、おそらく750KV〜1000KVではないかと思われる。

 アーム幅は中アームで35m位、アーム縦間隔は12m位だと思われる。我が国の1000KV送電線では、アーム幅は最小33m、アーム縦間隔は19〜20mであるので、縦間隔が狭いように思われる。

 これは、我が国では懸垂がいし装置が直吊りであるのに対して、この形状から推測すると、V吊り装置を用いるのではないかと推定できる。

 GWアームは、2本の角が生えたようなずいぶんと厳めしい造りで、特徴のある鉄塔構造だ。

 我が国では標準的な構造としてどの鉄塔にも採用されているブライヒ結構が、旅行中ほとんど見られなかったが、本格的に採用されている鉄塔に初めてお目にかかった。
 写真の下半分がブライヒ結構になっている。


 耐張鉄塔についても、下アームの下部にアームが増設できる構造になっている。

 ドイツの鉄塔はどれもスレンダーであるが、さすがに巨大鉄塔のためか、塔体幅の広いがっちりした構造であった。

 耐張鉄塔も、写真の下半分がブライヒ結構になっている。


 中には、既に3段目のアームが増設設置された鉄塔もあり、順繰りに工事が進められているように思われる。

 近い将来、電線がいし装置もUHV用の設備建設工事が始まるのではないかと想像される。

 今後ミュンヘンの西部を旅行される方は、注意してご覧いただければ、UHV設備が完成しているのが見られるかもしれない。



5.単相送電線
   (Single-phase power transmission lines)


 初めて4相送電線を見たときは、頭が混乱した。
 通常架空送電線は、3相3線式であるのが常識で、従って3で割り切れない電線数が架線されている送電線は、我が国ではまず無いと言っても過言ではない。(下北半島および紀伊半島の直流送電線を除いて)
 ところが、ドイツでは至る所にこの4相送電線が走っていた。
 直流2回線送電線ではなさそうだし、3相4線式送電線でもないし、組み合わせ電線方式の送電線でもないし、と思いながら、旅行中はそれが何なのか分からなかった。
 帰国して、1ヶ月くらい国会図書館その他インターネット等で調べた結果、それはドイツ鉄道(Deutshe Bahn、我が国のJRと同様の民間鉄道会社でドイツ全体に線路網を持つ会社)の専用送電線で、単相送電線(周波数:16.7Hz)だと分かった。

 ドイツの鉄道は、機関車が客車を牽引する方式で、その機関車の電動機は電圧15KV、周波数16.7Hzの仕様である。
 従って、電力会社の商用周波数50Hzの電気は周波数変換しないと使えないし、3相交流は不要なので、独自で発電所と電力供給系統を全国的に張り巡らせているようだ。
 それで、一般の送電線と殆ど平行したルートで単相2回線すなわち4相送電線が建設されている訳である。

   (1)水平配列送電線

 単相の2回線送電線については、垂直配列と水平配列の2通りの配列方法があるが、ドイツでは圧倒的に水平配列方式が多かった。

 電力会社の送電線設計方針と同じ考え方で建設されているようだ。

 右写真はその懸垂鉄塔であるが、懸垂がいし装置も電力会社とおなじで、長幹がいしを使用し、2連がいしの並び方向も線路と直角方向で同じ構造であった。また、鉄塔構造も電力会社のものと酷似しており、ほとんど同じ設計方針に基づいたものだと思われる。

 見た限りの鉄道用送電線はほとんど110KV送電線であり、写真の送電線の電圧も、110KVと思われる。


 電力会社と同じ構造の鉄塔であるところを見ると、鉄道会社の設計も電力会社の設計基準をそのまま適用しているのではないかと思われる。

 鉄塔塔体の結構形状、基礎直上の拡大根開き、ジャンパ線の構造、など電力会社の送電線と全く同じである。

 ただ、鉄塔昇降用のステップボルトが見あたらなかったが、細部で少し異なるところもあるのだろう。


右写真は、画面の左側が電力会社の220KV2導体送電線であり、画面の右側が単相4回線・水平配列送電線である。

 がいしは鋭角V吊り懸垂装置を使用しており、何故か、上アームの方が長い構造になっている。がいし装置は上下同じものを使用しているようだが、送電電圧は下回線の方が低いようだ。後方の耐張鉄塔も、懸垂と同様に下アームが短い構造をしているので、やはり、下回線電圧が低いようだ。

 このように、電力会社の送電線と並走している箇所が多かった。


   (2)垂直配列送電線

 右写真は垂直配列送電線である。

 オーストリアとの国境地帯で、山岳地形のルートで見ることが出来た。

 ルート設定上、山岳地域では線路幅を極力狭くすることが求められるので、垂直配列構造にしたのであろう。

 懸垂がいし装置の2連装置の並び方向は、我が国と同じ線路方向になっている。


   (3)特殊ながいし装置

 左側の写真では、2連懸垂の並び向きが線路と直角方向ではなく、我が国と同様の線路方向に並べて取り付けられている。

 ドイツでは珍しい。


 また、右側の写真は、送電線地上高が不足したのであろう、バランス型耐張装置を使用している珍しい鉄塔を見ることが出来た。


   (4)2導体・6回線送電線

 この写真は、発電所のごく近傍で、発電所から6回線が引き出され、それも送電容量を大きくするため、2導体方式を採用している箇所の写真である。

 この鉄塔から各方面別に、別々のルートを取って各地の変電所に送電していく、ルートが分かれる要の箇所の鉄塔であろう。



6.3相4線式送電線   (A 3 phase 4 conductor type power transmission line)


 送電工学の教科書には、3相4線式送電線の記述があり、一通りの勉強はしたものの、実際にどんなものであるか、ついぞ見たことがなかった。
 この度の旅行ではからずも見ることが出来た。

 3相交流送電系統では、その各相の負荷がバランスしていれば中性線には電流が流れないが、負荷がアンバランスになると電流が流れる。

 現在ではどの電力会社でも電力系統が巨大になり、各相の負荷がバランスするよう、系統を構成し運転している。

 しかし、昔のごく小さな電力系統では、送電線を撚架したり、その他対策を講じても十分ではなかったと思われ、中性線を設置・架線する必要があったと思われる。

 この写真の送電線では、がいしは特殊ながいしで、昔(1920年頃)の「2枚笠モートルがいし」に酷似したがいしが使用されている。
 この「がいし」から推察すると、今から80年ほど前に建設されたものであろう。

 ただ、鉄塔塔体下半分は、上部の結構と異なる構造のものを使用しており、後日嵩上げが必要となって継ぎ足ししたものと思われる。すなわち、撮影した場所がアウトバーン横断箇所であり、道路建設に伴い電線地上高を嵩上げしたものと思う。

 電圧は20KV前後の送電線と思われる。

 場所はハイデルベルクの西北である。



7.その他(特殊鉄塔、撚架鉄塔、航空障害標識、ミステリー鉄塔など) (Others)

   (1)特殊形状の鉄塔等

 右写真は220KV単導体送電線である。

 水平配列またはドナウ型が主流のドイツで、特異な形をした設備である。

 同じ形状の懸垂鉄塔も見られた。

 この送電線は1922年に建設開始されたドイツで有名な「220kV南北線」であろう。
 詳しくは、送電線の定義:送電電圧の上昇推移・交流送電線一覧表の(注6))を参照されたい。


 我が国でもそうであるが、昔は3相送電線の各相ごとのインピーダンス(交流抵抗)を極力等しくする目的で、電線配列を1回線の場合は正3角形に、2回線の場合は正6角形にする努力をしたようである。

 我が国では、66KV鬼怒川線、110KV陰陽連絡線などがその例である。

 ドイツは3相交流送電線の発祥の地であり、その頃の技術者達はいろいろな工夫・開発をしてきたと思われ、この送電線も電線配置を正6角形にするため、開発した鉄塔構造であろう。

 古い設備を大切に運用していることが分かる。


 ドイツでは珍しくも「えぼし型」の鉄塔を一瞬見ることが出来た。

 バスの中から望遠レンズで撮ったが、手前の植物に焦点が合って肝心の鉄塔がボケてしまったが、この一瞬しか姿を現さなかった。

 架空地線のアームが珍しい形をしている。


 50KV以下と思われる低電圧ローカル系統の鉄柱、および110KVと思われるコンクリート柱支持物である。

 線下面積を幅広くとっている送電線が多いなかで、線下面積を狭めた三角配列の支持物、鉄柱およびコンクリート柱の送電線である。


   (2)撚架鉄塔

 ドナウ型鉄塔の送電線では、下線2相の入れ替えをする「部分撚架」を随所で見ることが出来た。

 特殊構造とせず、ジャンパ線をクロスするだけで部分撚架が出来るので、多くの箇所で実施しているようだ。

 左写真が220KV垂直2導体、右写真が380KV4導体の送電線である。

 ただあくまでも2相の部分であり、ドナウ型送電線で上線を含めた完全撚架は、見ることは出来なかった。


 左写真は上記のドナウ型と同じ部分撚架の写真である。


 右の写真は径間で全相撚架を行っているものである。
結線は、上右相から下相へ、下相から
上左相へ、上左相から上右相へ撚架している。

 撚架径間の各相2個のがいしは、手前は通常の相電圧対応、後方のがいしは線間電圧対応である。

 ヨーロッパでは、水平または3角配列の送電線で、撚架用鉄塔を使わず径間で全相撚架をするケースが多いようである。
(スペインの項にて水平配列全相径間撚架掲載)


   (3)ミステリー送電線

 上述の単相送電線、3相4線式送電線以外に、3で割り切れない相数の送電線に出会った。

 左は、ドナウ型配列の下に2相が架線されている。
 どの相もがいし装置・電線は全く同一で110KV送電線設計に見える。

 右は、垂直2回線送電線の下アームに、内側・塔体側に余分に2相が架線されている。
 どの相もがいし装置・2導体電線は全く同一で220KV設計のようだ。

 ミステリーな送電線である。

 左は、ドイツ鉄道の単相1回線を併架している可能性が考えられるが、右は電圧、導体方式からしてそのようには見えない。
 特に右写真が不思議な送電線だ。


   (4)航空障害標識

 アウトバーンを横断したり、平行接近している送電線の架空地線には、右のような航空障害標識が必ず設置されていた。

 アウトバーンが有視界飛行のルートになっているため、送電線に標識が義務づけられているようだ。

   (5)相間スペーサ

 相間スペーサは、ドナウ型の場合、「上相−中相内側または外側(垂直)」、「中相内側−中相外側(水平)」に設置されていた。
 水平相間スペーサは珍しい。




Coffee Break(田舎の配電線) (Distribution lines of the country)


 田舎の集落に対しては、村の端まで架空ローカル送電線が建設されていて、そこで配電塔に引き込みされて降圧され配電線となるようだ。
 配電線は地中線で、集落の最も近い家屋付近まで施設され、そこで架空となり、その後は戸建て住宅の屋根から屋根へと伝わって、集落の末端家屋まで屋根伝いに施設されている。少し家屋が離れている箇所では、庭に電柱が建っていることもあった。
 道路に配電柱を建設して、各戸に引き込む我が国の配電線方式は、見ることが出来なかった。
 


 家屋の屋根の強度設計は、どのようになっているのだろうか。また、財産区分はどのようになっているのだろうか。

 さらに、配電線施設のため、屋根の強度を増加させた費用は誰の負担になるのだろうか。


 個人の財産(家屋)に、公共的施設を取り付けるので、我々からみると難しい問題点が多いように思われるが、何処でもこのような施設であった。



 最後までご覧いただき感謝します。

 ドイツ旅行は、ライン川クルーズと、いわゆるロマンチック街道を巡るツアーであったが、古い歴史の数々にふれて、思い出の多い旅になった。

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